2014.2.19奥田サロン

「つるまない、群れない、新しい繋がりの形」

奥田サロンも開催2年目。ここからいろいろな繋がりや、それをもとにチャンスの共有が生まれてきました。

せっかくの知の共有の場なので、レポートをいろいろな方にお願いすることにしています。

沢山の方に協力いただいています。

 

2014年の第二回目は伊藤 朋子さんによるレポートです。

 

 

レポーター:伊藤 朋子さん

写真:高橋 佳代子さん

 

すでに2年ぐらい続いている奥田サロン。今月のテーマは「つるまない、群れない、新しい繋がりの形」です。

 

高橋 佳代子さん撮影の写真はこちらに沢山アップされています。

「この1年で仕事以外で100人以上の人に会った人?」

 

奥田さんのこの問いかけで始まったこの日のサロン。会場は半分弱の参加者が挙手しました。通常のセミナーでは、こんなに手が挙がらないのではないでしょうか。奥田さん自身は、2000人ぐらいに会ったとのことですが、人数が重要ではなく、幅広い人とのつながることが重要なのです。そのつながりが、自分の選択肢を広げたり、多様な考え方を身につけられたりすることができるからです。

 

 

ですが、ただ待っていただけでは、こんなにたくさんの人と出会うことはできません。奥田さんがどうやって1年で2000人の人と出会っているのかというと、戦略的・計画的にイベントを企画したり、参加したりすることで、1回に20人〜50人のいろいろな世代、さまざまな人に出会う努力をなさっているからなのです。

 

 

では、どうしてそのような努力をなさっているのでしょうか。それは、隣にいる人が、知らない職業になる。その過程や背景を知ることで、「人を知るってすばらしいということ」、「想像をつかないような選択肢を選んだ人の方がおもしろい」ということに気づいたからだそうです。

 

「友だちいますか?」

 

次の問いはこれでした。友だちの定義ほど人によって違うものはありませんが、具体的に友だちの定義とは何なのでしょうか?

この定義が難しい「友だち」に限ってみんな固執しているし、「いる」「いない」を考えているのではないでしょうか。

 

「ずっと友だちでいようね?」

「あ、無理・無理」

 

みんながそう言える人になっていいと思うという奥田さんの考え方に、納得された方も多かったように感じました。

 

つながる形は「仲間」「同志」「戦友」「自分のことを思ってくれる人」などに置き換えられます。

「ずっと友だちでいようね?」

そう言われた時に、どう返すか。「仲間」なのか、「同志」なのか、「戦友」なのか。何の「つながり」に置き換えられるか。それでずっとやってこられたとおっしゃっていました。

 

「ひとりの人の中に多くを求めない」

こういう考え方も大事ではないでしょうか。

 

「孤独」「孤立」「孤高」「疎外」

 

いろいろな意味の「ひとり」があるけど、ひとりは怖くない。それは、「つながらなくてはならない」と思っていると怖いと感じるだけで、つながらない時があってもよいのではないでしょうか。奥田さんは、そういつも考えていらっしゃいます。

 

「不運の女神は同じ場所にとどまっている」

 

奥田さんが同じ場所にいつもいないのは、自分の興味が恐ろしいスピードで変わっていて、トライ&エラーで進んでいるからと分析しています。

これを交友関係でも応用し、ものすごいスピードで交友関係を変えるとすごくメリットがあるとお話しなさったことは、参加者の皆さんも新しい気づきとなったのではないでしょうか。

 

「幸運の女神は速く、不運の女神は鈍い」

 

奥田さんが悪口を(面と向かって)言われないのは、あちこち飛び回っているから言っている時にはそこにいないためとだと思っていらっしゃいます。

嫌な人に捕まりたくなければ、いつも動いていればよいとのアドバイスがありましたが、俊足で走って足を引っ張る人はいないと考えれば納得できることです。

 

また、奥田さんは、同じ仲間と長い時間を同じ場所を共有すると、負のオーラが出てくるとおっしゃっていました。例えば、10分で終わりそうな会議を1時間やるとすると、10分で目的は達成し、残りの50分はそれができない理由とか、そういった足を引っ張るないようになりがちであるとか、夫婦が結婚当初と同じ役割のままずっととどまっているといつしか不満がたまって文句を言い合うとかそういうことのようです。

負のオーラを出さないためにも、長い間、同じ場所にとどまらないような工夫が必要と教えてくださいました。

 

「チャンスと人とのつながり方について」

 

これは、なぜひととつながる必要があるのかという一番の理由を説明する図です。

 

 

自分が生きている世界にいると、自分のチャンス(赤い玉)は、そのそばに落ちていないのです。だから、「自分にはチャンスがない」と思ってしまいがちです。しかし、自分のチャンスはすぐそばの別の世界や、その先の世界に落ちていることが多いのです。

 

Aさんの世界に落ちている、自分のチャンスを「これはあなたのチャンスじゃないですか?」とAさんが言ってくれることで、そこに自分のチャンスがあることに気がつきます。

 

 

 

さらに、つながりが広がると、Aさんのお友だちのFさんの世界に、自分のチャンスがあるとします。すると、Fさんと直接のつながりはなくても、Aさんがそれを見つけて教えてもらうこともできるのです。

では、どうしてそのように教えてもらえるのか。それは、自分の興味・関心・能力を発信しているから、そういうふうに言ってくれる人が出てくるのです。

 

 

「チャンスと回転寿し」

 

ですが、チャンスはつながっているから来るというものではありません。

自分の趣味・関心・能力を公開することが、チャンスを共有してもらう上で重要だとお話しされましたが、それがなぜ、チャンスに出会える方法になるのでしょうか。それは、人を介してチャンスはやってくるからなのです。奥田さんは特にこのことを実感されているとおっしゃっていました。

 

 

皆さんも気がついていると思いますが、自分のチャンスはどこにあるかわからないし、チャンスがくるかどうかもわからない。そう、自分のチャンスは一番わかりにくいのです。ですが、人のチャンスは見つけやすいものです。

 

そこで、奥田さん自身は、人のチャンスを見つける訓練をいらっしゃいます。訓練とは心のもちようです。この結果、人が欲しがっているものはよく見えるようになったそうです。

 

例えば、イクラ好きの田中さんとヒラメ好きの鈴木さんと回転寿しに行ったとします。田中さんは、イクラが好きであることを知っているので、いくらが見えたら「田中さん、イクラが回ってきましたよ!」と教えてあげることができます。

 

同じように、ヒラメが回ってきたら、「鈴木さん、ヒラメのいいところが回ってきましたよ!」って教えてあげます。そうするとどういうことが起きるかというと、田中さんと鈴木さんは、奥田さんがマグロ好きだということを知っているので、マグロが回ってくると「奥田さん、マグロの握りたてが回ってきます」というように教えてくれるのです。

 

 

誰かがチャンスであることを教えてくれる場を共有すると、チャンスのあげあい競争になります。例えば、「奥田さん、もう少し待った方が、マグロのいいところが回ってきます」というような感じです。

 

このように、チャンスを教えてあげることで、自分にとってのチャンスが、続々と入ってくるという経験をなさっているそうです。

 

「価値に対して、価値でお返ししてもらえる」

 

そんなつながり方があっていいと思うし、友だちじゃないつながり方、時によっては誰ともつながらなくてひとりでいることも大事だということを共有できたらいいなと奥田さんは締めくくりました。

 

<参加者とのセッション:立花 岳志氏>

 

立花さんの奥田さんに対する印象は、時代の読みっぷりがすごいということ。特に、「時価総額でしか自分の会社を語れないのはかっこわるすぎる」という言葉に共感したそうです。奥田さんは「名言メーカー」でもあるとのことです。

 

 

 

 

奥田さんが考える時価総額でしか会社を語れない人が、次に目指す先は、

・マラソンとかトライアスロン(タイムや筋肉量ではかる)

・次世代をどうやってつくるか

という大きくわけて2つ。だけど、実際はもっと価値観を競ってほしいとのことです。

 

 

 

 

「群れないとはどういうことなのか?」

立花さんは、翻訳の仕事についたものの、それが記号の変換にしかすぎないと感じ、苦痛になっていったそうです。最初は翻訳者になることを目指していたものの、次第に目標を見失って、その後17年間も会社にいて群れてしまったと振り返ります。このままではならないと思い、ブログをてこに独立なさったそうです。

 

この場に来ている人は大丈夫だと思いますが、閉じた世界の中で群れている人がまだまだ多く、そういう人たちに向けたメッセージを新刊にしたためたそうです。

 

 

<参加者とのセッション:椎野 磨美氏>

 

奥田さんが、会社にいながら会社では群れずに、群れずにやっている人と言って紹介なさったのが椎野さん。

 

椎野さんは、前職ではコミュニティをやることを禁止されたため、コミュニティをやり続けるために会社をやめたそうです。そして、転職する先では、コミュニティを続けることを条件に採用してもらったそうです。

 

椎野さんは、コミュニティの活動を熱心にすればするほど、中でも群れてしまうと経験なさっているため、コミュニティで群れることを禁じているそうです。また、コミュニティに居心地が悪くなったら、無理して続けるのではなく、やめてもらうようにしているそうです。

 

プロジェクトによって、個々の特性を活かしてメンバーを替えるようなことをやっているそうです。そして、コミュニティを長く続けるためには、必要以上に群れていないと考えて運営なさっています。

 

 

奥田さんに会いたいと言い続けたことによって、奥田さんとつながることができた。コミュニティに参加している人は、悩みを持っているけど、得意な部分がある。距離感を保ちつつ、活動を続けてほしい。会社の仕事とやりたいことをわけてやっていきたいとお話してくださいました。

 

<参加者とのセッション:戸井田 克也氏>

 

戸井田さんは、格闘家であったけど、現在は約10の道場を運営なさっているそうです。現役時代では、格闘技という狭い世界だけでずっと生きてきたそうです。現役の終わりごろに交友関係の広い先輩について、いろいろな会に呼ばれるようになり、経営者として参加することで新しい世界の扉を開いたそうです。

 

ずっと同じマーケットにいると、マーケットがだんだん狭くなる。いろいろなマーケットに出て行かないと、自分が小さくなっていくと感じたそうです。そういうことに気がつかないと、格闘家として実績をあげた人でも、経営は厳しくなるとお話ししてくださいました。

 

いろいろな分野の人と会うと、新しい世界が広がると実感できた人だと、奥田さんは紹介してくださいました。

 

 

 

後半は質疑応答になります。回答については、そのヒントを箇条書きにまとめさせていただきました。

 

<質疑応答:群れる能力がないのですが?>

質問:

群れると疲れてしまう。お昼ご飯食べにいく、当たり障りのない会話をするのが苦痛です。群れることができる人に、そのコツを聞かせてもらえないでしょうか。

 

回答:

・状況を知るという場が会議ではなく、群れる場所でしか得られないことが日本では多いのでよい面もあるが、誰かが前に出ようとした時に足を引っ張るような場では意味がなく、単につるんでいるのではなく、コミュニティであればよいと思う

・家族は群れでもあるので、どこの単位までを群れると思っているのかを自分でもつことが必要

・仕事上とプライベートの境界線にあるような、縁と縁の接点は持つこと必要

・格闘家の仲間と練習して、そのあとお昼も一緒に取ってという生活を毎日していたけど、それはそれで楽しかったが、それは好きなことをやっているからかもしれない

 

 

<質疑応答:群れるという言葉の解釈?>

質問:

群れの力を感じることがあります。例えば「私は」ではなく、「私たちは」と言えることの力強さを感じることはありませんか?

 

回答:

・大きい会社にいる時は群れの力を使っていた

・会社を立ち上げて、会社の色をつくるまではよいが、それが行き過ぎると政治的な感じになってしまう

・集団を長い間にわたって支配するのは難しい

・部署の異動はマイナスに働く前によどまないとか、つるまないということを防ぐ

・会社のトップは配置転換がないので、4番目ぐらい以降が腐りやすい

・自分個人は群れたくないが、会社としては最大の群れを作りたい

・「群れる」という言葉の意味が難しい

・何のために集まっているのかわからないのが群れなのか

 

 

 

<質疑応答:敵を作りやすい>

質問:群れない代わりに、敵を作りやすいので、敵を作らない方法を作る方法はないでしょうか?

 

回答:

・共感するけど、手は握らない。

・会社を辞めようとした時に、各方面からやめたら失敗するとか、夢をみるなとか、そう言ってくる人が多いが、そういう人はサラリーマンしかやったことがない人。一方で、会社経営者などは、遅かったとかいってくれる

・ドリームキラー:保守的な人は、誰かがその場から抜けるということは許せないこと

・辞める時に人のつながりを残さなければ、敵にならない。

 

 

<質疑応答:価値観が同じ人や違う人と群れることについて>

質問:価値観が同じ人と、価値観が違う人と両方に群れることのメリットについてどう思われますか?

 

回答:

・私と価値観が(全く)同じ人はいないとそう思っているから、自分は強いと思っている

・価値観が違うと殺しあう世界もある(戦争)

・違ってあたり前

・21世紀は多様性の時代だと思っているので、意見が合わないのはあたり前

・群れていると最初のひとりしか意思決定をしない

・役割分担や性格の違いによってバランスが取れる

・かものはし

 

 

<質疑応答:今の会社を辞めようと思っているのですが>

質問:大手の会社と副業をやっているのですが、本業を転職しようかと考えている。今の会社にどっぷりつかっているので、どうやって群れをやめるかが難しいのですが、穏便に離れれる方法はないものでしょうか?

 

回答:

・転職する前に市場価値を測ること

・転職する前に自分の市場価値をわからないと、生活がかかっている場合は要注意

・飛び出したいときは8割気持ちが決まっているもの

・人のことを思いやっているような言葉を書き出すと、それは言い訳にしかならないことが多い

・市場価値は自分では測れないので、自分が行きたい方向の先にいるいろいろな人の話を聞く(残る人たちに聞いても意味がない)

・残っている人は説得しなくていい

 

以上です。

伊藤さん、レポート有難うございました。

高橋さん、撮影有難うございました。